個人情報流出後の対策ナビ

【流出後対応】公開情報(SNS等)の見直しで二次被害を防ぐ具体的なステップ

Tags: 個人情報流出, 二次被害, SNS, セキュリティ対策, 公開情報, プライバシー設定

個人情報が流出したという情報に接したとき、まず流出元への確認やパスワード変更といった対応を考えることと思います。しかし、見落とされがちな重要な対策の一つに、ご自身がインターネット上で公開している情報、特にSNSなどでの発信内容の見直しがあります。

流出した個人情報と、普段ご自身が公開している情報が組み合わされることで、より精度の高いなりすましやフィッシング詐欺といった二次被害のリスクが高まる可能性があるためです。ここでは、個人情報流出後に見直すべき公開情報と、二次被害を防ぐための具体的なステップについて解説します。

流出情報と公開情報の組み合わせによるリスク

なぜ、流出した個人情報と公開情報が組み合わされると危険なのでしょうか。そのメカニズムを理解することが対策の第一歩です。

悪意ある第三者は、流出した断片的な個人情報(メールアドレス、氏名の一部、電話番号など)だけでは、特定の人物を標的にした詐欺を成功させることは難しい場合があります。しかし、これにご自身が公開している情報(SNSでの趣味、居住地域、勤務先、家族構成、よく利用するサービス、特定の時期の行動予定など)が加わると、状況は一変します。

このように、ご自身が「これくらいは大丈夫だろう」と考えて公開していた情報が、流出した情報と結びつくことで、強力な攻撃手段となり得ます。

見直すべき主な公開情報

個人情報流出が確認されたら、以下のような公開情報を見直すことをお勧めします。

公開情報を見直すための具体的なステップ

以下のステップに沿って、ご自身の公開情報を体系的に見直し、リスクを低減しましょう。

  1. 利用している主なサービスをリストアップする:

    • SNS(X/Twitter, Facebook, Instagram, LinkedInなど)
    • ブログ、個人ウェブサイト
    • オンラインフォーラム、コミュニティ
    • 公開プロフィールを持つその他サービス(GitHub、Qiitaなどの開発者向けサービス含む)
    • レビュー投稿などを行っているECサイトなど
    • 写真共有サービス、クラウドストレージ
  2. 各サービスのプライバシー・公開範囲設定を確認し、最小化する:

    • プロフィールの公開範囲を「友人まで」「相互フォローまで」など、可能な限り狭く設定します。
    • 投稿の公開範囲も同様に見直します。初期設定が「全体に公開」になっているサービスもあります。
    • 過去の投稿に対する公開設定も確認します。
  3. 過去の投稿内容をレビューし、削除・非公開化を検討する:

    • 氏名、住所、電話番号、メールアドレスなど、個人を特定できる情報が直接含まれている投稿。
    • 自宅や勤務先、頻繁に訪れる場所が特定できる写真や情報。
    • 特定の時期に自宅を留守にすることがわかる投稿(旅行の予定など)。
    • 家族や友人の個人情報が含まれる投稿(写っている写真含む)。
    • 所属組織やプロジェクトに関する非公開情報。
    • その他、悪用される可能性のある個人的な詳細情報。
    • 大量の過去投稿を一括で非公開化・削除する機能を持つサービスもありますので活用を検討します。
  4. オンライン上の「デジタルフットプリント」を確認する:

    • ご自身の氏名、旧姓、よく使うニックネームなどで検索エンジンやSNS検索を行い、どのような情報が公開されているか確認します。
    • 意図せず情報が公開されている場合は、その情報源を探し出し、削除や非公開化を依頼します。
  5. 友人/フォロワーリストや「知り合いかも」表示の見直し:

    • 友人リストなどが公開されている場合、非公開設定に変更します。
    • 「知り合いかも」機能を通じて、個人情報が意図せず広がる可能性も考慮し、設定を見直します。
  6. 位置情報共有設定の見直し:

    • SNSやカメラアプリなどの位置情報共有設定をオフにするか、利用時に公開範囲を限定します。
  7. 使用しているニックネームやIDの統一性確認:

    • 複数のサービスで全く同じ、あるいは非常に似たニックネームを使用している場合、一つの情報流出から他のアカウントが芋づる式に特定されるリスクがあります。可能であれば、重要なサービスでは異なるニックネームを使用することを検討します。
  8. 利用していないアカウントの削除:

    • 長期間利用していないサービスに個人情報が登録されたままになっていると、そのサービスからの情報流出リスクだけでなく、見直しが行き届かない公開情報のリスクも残ります。不要なアカウントは削除しましょう。

これらのステップは一度行えば完了というものではありません。新しいサービスを利用する際や、個人情報に関するニュースに接した際には、定期的に見直す習慣をつけることが重要です。

個人情報保護法と公開情報

個人情報保護法では、「個人情報」を「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項をいう。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)」と定義しています。

ご自身が公開している情報であっても、それ単独あるいは他の情報(特に流出した情報)と容易に照合することで特定の個人を識別できる場合は、この「個人情報」に該当し得ます。自身の情報をどのように取り扱われるかについて、完全にコントロールすることは難しいですが、個人情報保護法は、事業者に対して個人情報の適切な取り扱いを義務付けており、ご自身の情報に関する開示、訂正、利用停止、削除などを請求する権利を定めています。公開している情報についても、その公開範囲や利用目的について、サービスの規約などを確認し、必要に応じて情報の削除などを求めることができる場合があります。

まとめ

個人情報が流出した場合、その流出経路や内容に応じた直接的な対策はもちろん重要ですが、ご自身が日頃インターネット上で公開している情報を見直し、整理することも、二次被害を防ぐ上で非常に効果的な対策となります。

流出した情報と公開情報が悪意ある第三者によって組み合わされることで、フィッシングやなりすましといった攻撃の精度が格段に向上するリスクがあります。今回ご紹介した具体的なステップ(サービスのリストアップ、設定確認、投稿レビュー、デジタルフットプリント検索、不要アカウント削除など)を実行し、ご自身の公開情報をコントロールすることで、リスクを最小限に抑えることができます。

個人情報流出は不安を伴う出来事ですが、冷静に、そして体系的に対策を進めることが何よりも大切です。本記事が、その一助となれば幸いです。