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【情報項目別】個人情報流出時のリスクレベル判断と取るべき対応

Tags: 個人情報流出, 情報漏洩, セキュリティ対策, リスク管理, 二次被害

個人情報が流出した、というニュースを聞いたり、ご自身の利用しているサービスから通知を受け取ったりした際、まず気になるのは「自分の情報が含まれているのか」、そして「もし含まれているとしたら、どの程度の情報が漏れていて、どれほど危険なのか」という点ではないでしょうか。

ITリテラシーが高い方であっても、個人情報が一度インターネット上に流出してしまった場合、それが具体的にどのように悪用され、どのようなリスクに繋がるのかを正確に把握することは難しいかもしれません。流出した情報の種類によって、その後のリスクや取るべき対応は大きく異なります。

この記事では、流出した可能性のある個人情報の項目ごとに、想定されるリスクと、それに応じた具体的な対応策について解説します。ご自身の情報がどの程度危険に晒されているのかを判断し、落ち着いて適切な行動を取るための一助となれば幸いです。

個人情報項目ごとのリスクレベルと具体的な対応策

流出した情報がどのような項目を含むかによって、その後のリスクの深刻度や取るべき対応の緊急度は変わります。ここでは、代表的な個人情報項目ごとに想定されるリスクと対応策を見ていきましょう。

氏名、住所、電話番号

これらは比較的多くのサービスで登録が必要な基本的な情報ですが、単体でも、あるいは他の情報と組み合わせることで様々なリスクに繋がります。

メールアドレス

メールアドレスは、様々なオンラインサービスのIDとして使用されることが多いため、流出すると多様なリスクが発生します。

生年月日

生年月日は単体ではリスクが低いように思えますが、他の情報と組み合わせることで本人確認の突破に使われたり、年齢に合わせた詐欺のターゲットにされたりするリスクがあります。

勤務先情報

氏名と勤務先情報が組み合わさって流出すると、ビジネス上のリスクに繋がる可能性があります。

ID/パスワード

IDとパスワードの組み合わせが流出した場合は、最も緊急性が高く、直接的な被害に繋がりやすい情報です。

クレジットカード情報

クレジットカード番号、有効期限、セキュリティコードなどが流出した場合は、金銭的な被害に直結します。

金融機関情報(口座番号、暗証番号など)、医療情報、健康情報

これらの情報は、流出した場合のリスクが非常に高く、深刻な被害やプライバシー侵害に繋がります。

その他の情報(趣味嗜好、閲覧履歴、購入履歴など)

氏名や連絡先のような直接的な情報でなくても、これらの情報が流出することで、よりターゲットを絞った巧妙なサイバー攻撃や詐欺の標的となるリスクがあります。

複合的な情報流出のリスク

これまで情報項目ごとにリスクを見てきましたが、複数の情報が組み合わさって流出した場合、単体の情報が流出した場合よりもリスクは格段に高まります。

例えば、氏名、住所、生年月日、電話番号、メールアドレスといった基本的な情報がまとめて流出した場合、なりすましの精度が向上したり、様々なサービスへの不正ログイン試行に悪用されたりする可能性が高まります。さらに、ID/パスワードやクレジットカード情報がこれに加わると、金銭的被害やアカウント乗っ取りのリスクが飛躍的に増大します。

流出した情報の項目が多いほど、そして機密性の高い情報(決済情報、健康情報など)が含まれているほど、リスクレベルは高いと判断し、より迅速かつ広範な対応が必要になります。

リスクレベル判断のポイント

ご自身の情報が流出した可能性がある場合、以下の点を考慮してリスクレベルを判断することが重要です。

流出が発覚したら行うべき全体的な対応フロー(簡潔に)

情報流出が発覚した際には、以下のステップを参考に、冷静に対応を進めることが重要です。

  1. 流出元からの正式な発表を確認する: どのような情報が、いつ、どのように流出したのか、事業者の対応状況を確認します。(個人情報流出の企業通知を理解する:確認すべき重要情報と対応方法 を参照してください。)
  2. ご自身の情報が含まれているか確認する: 事業者の発表に従い、ご自身の情報が流出対象に含まれているか確認します。
  3. 該当サービスおよび他のサービスのパスワードを変更する: 特にID/パスワードが流出した可能性がある場合は、直ちにパスワードを変更し、使い回している他のサービスも同様に対応します。(【発覚直後】個人情報流出を知ったら行うべき最初のステップとチェックリスト を参照してください。)
  4. クレジットカード会社や金融機関に連絡する: クレジットカード情報や金融機関情報が流出した場合は、直ちに連絡し、不正利用防止措置を取ります。
  5. 各種アカウントの利用履歴を確認する: 不正ログインや身に覚えのない操作がないか、利用履歴をチェックします。
  6. 情報漏洩監視サービスの利用を検討する: ご自身の個人情報がダークウェブなどで取引されていないかを監視するサービスの利用も有効な対策です。(個人情報流出後の不安解消:情報漏洩監視サービス活用ガイド を参照してください。)
  7. 不審な連絡や請求に警戒する: フィッシング詐欺やなりすましなどの二次被害に繋がる可能性のある不審な接触には十分注意してください。(流出した個人情報による二次被害を防ぐ具体的な方法(フィッシング・なりすまし編) などの関連情報を参照してください。)
  8. 必要に応じて関係機関に相談する: 被害が発生した場合や、対応に困る場合は、警察、消費者ホットライン、個人情報保護委員会などに相談してください。

関連する法的な側面

個人情報保護法では、個人情報を取り扱う事業者に対して、個人情報の安全管理のために必要な措置を講じること(安全管理措置)や、個人情報漏洩が発生または発生するおそれがある場合に、個人の権利利益を害するおそれが大きいときは個人情報保護委員会への報告および本人への通知を行うことなどが義務付けられています。

ご自身の情報が流出した場合、事業者に対して、どのような情報が流出したのか、漏洩の原因と再発防止策、そしてご自身への影響などについて説明を求める権利があります。場合によっては、流出した情報の開示請求、訂正・削除請求、利用停止請求などを行うことも可能です。ただし、損害賠償請求については、実際に損害が発生し、その損害と事業者の義務違反との間に因果関係があることなどを立証する必要があり、容易ではない場合が多い点も理解しておく必要があります。(個人情報流出!法的な視点から見るあなたの権利と取るべき行動、【法的対応】個人情報流出で損害賠償請求は可能か?要件と手続きの基本 などの関連情報を参照してください。)

まとめ

個人情報流出は決して他人事ではなく、誰にでも起こりうるリスクです。もしご自身の情報が流出してしまった場合でも、流出した情報項目ごとのリスクを正しく理解し、それに応じた適切な対応を迅速に行うことが、被害を最小限に食い止めるために非常に重要です。

流出した情報がどれだけ危険かを判断するためには、含まれている情報項目とその組み合わせ、情報の鮮度などを総合的に考慮する必要があります。特にID/パスワードや決済情報、機密性の高い情報が含まれる場合は、最優先で対応を進めてください。

日頃から、パスワードの使い回しを避け、多要素認証を活用するなど、情報が流出した際のリスクを低減するための備えをしておくことも大切です。万が一、情報流出に遭遇してしまった際は、この記事を参考に、冷静に、そして着実に対応を進めていただければと思います。